ホテルの口コミを増やすときに気をつけたいこと|高評価誘導を避ける正しい集め方
ホテルや旅館にとって、口コミはとても重要です。
宿泊先を探している人は、料金や立地だけでなく、実際に泊まった人の声を見て判断します。
部屋の清潔感。
スタッフや案内の分かりやすさ。
周辺の雰囲気。
静かに眠れるかどうか。
ひとりでも過ごしやすいか。
こうした情報は、公式サイトの説明だけでは伝わりにくく、口コミだからこそ参考にされることがあります。
そのため、ホテルや小規模宿が口コミを増やそうとすること自体は自然なことです。
ただし、口コミを増やすときには注意も必要です。
高評価の宿泊者だけに口コミをお願いしたり、低評価の人には投稿画面を案内しなかったりすると、不自然な口コミ誘導になってしまう可能性があります。
この記事では、ホテル・旅館・ゲストハウス・一棟貸しなどの宿泊施設向けに、口コミを増やすときに気をつけたいことと、宿泊者の声を無理なく集める考え方を紹介します。
口コミを増やすときに見落としやすい落とし穴
口コミを増やしたいと考えること自体は、宿泊施設にとって自然なことです。
宿泊者が満足していても、何もしなければ口コミはなかなか増えません。
チェックアウト後は移動や予定で忙しく、あとで書こうと思っていても忘れてしまうことがあります。
また、何を書けばいいか分からなかったり、文章を書くのが面倒に感じたりする人もいます。
そのため、宿側が口コミ投稿の案内を用意したり、感想を書きやすい導線を作ったりすることには意味があります。
ただし、ここで気をつけたいのが「良い口コミだけを増やそう」としてしまうことです。
たとえば、反応がよかった宿泊者だけに口コミをお願いする。
アンケートで高評価をつけた人だけにGoogle口コミを案内する。
不満を書いた人には、投稿画面ではなく改善フォームだけを表示する。
こうした運用は、一見すると効率的に見えます。
でも、実際には宿泊者の声を選別する仕組みになりやすく、口コミの公平性を損なう可能性があります。
口コミを増やすときに大切なのは、良い声だけを拾うことではありません。
宿泊者が感じたことを自然に残せる導線を作り、投稿するかどうかは本人に任せることです。
この前提を外すと、口コミ対策のつもりが、不自然な高評価誘導に近づいてしまいます。注意したいのは「良い口コミだけを集める」運用
口コミを増やそうとするときに、ついやりたくなるのが「満足してくれた人だけに口コミをお願いする」方法です。
たとえば、次のような運用です。
- チェックアウト時に反応が良かった人だけに口コミをお願いする
- アンケートで高評価をつけた人だけにGoogle口コミを案内する
- 不満を書いた人には改善フォームだけを表示する
- 良かった点だけを聞いて口コミ文にする
- 低評価になりそうな声は外に出ないようにする
気持ちは分かります。
宿としては、せっかく口コミを増やすなら良い口コミを増やしたい。
悪い口コミが増えるのは怖い。
できれば高評価の声をGoogleに残してほしい。
でも、この発想が強くなりすぎると、口コミの公平性が崩れます。
口コミは、宿泊者本人の体験に基づいて投稿されるものです。
宿側が「良い声だけ」を選別して外に出すような設計にすると、実際の宿泊体験よりも評価が良く見える状態を作ってしまいます。
短期的には良さそうに見えても、長く見ると信用を失うリスクがあります。
高評価の人だけに口コミをお願いしない
口コミを増やすときに特に気をつけたいのが、高評価の人だけに口コミ投稿を案内することです。
たとえば、宿泊後アンケートで星5を選んだ人にはGoogle口コミの投稿画面を表示し、星3以下の人には改善フォームだけを表示する。
このような流れは、一見すると効率的に見えます。
良い口コミが増えやすく、悪い口コミを防げるように感じるからです。
しかし、これは公平な口コミ収集とは言いにくくなります。
宿泊者の評価によって、口コミ投稿の機会を出し分けているからです。
宿泊者の声を集めるなら、良い評価の人にも、気になる点があった人にも、同じように声を残せる導線を用意する方が自然です。
もちろん、不満や改善点を宿に直接伝えてもらう仕組みは大切です。
ただし、それを「低評価の人をGoogle口コミから遠ざけるため」に使うと、設計として危うくなります。
レビューゲーティングとは
レビューゲーティングとは、簡単に言えば、評価の高い人だけを口コミ投稿へ誘導し、評価の低い人を別の導線に分けるような口コミ収集のやり方です。
宿泊施設で起きやすい例としては、次のようなものがあります。
- アンケートで高評価の人だけにGoogle口コミを案内する
- 満足した人だけに口コミ投稿をお願いする
- 不満がある人には問い合わせフォームだけを表示する
- 良かった点だけを選ばせて口コミ文を作る
- 改善点を書いた人には口コミ案を出さない
こうした設計は、良い口コミだけを増やすための選別になりやすくなります。
特に、アンケートとGoogle口コミをつなげる場合は注意が必要です。
アンケートは本来、宿泊者の声を受け取るためのものです。
良かった点も、気になった点も、どちらも宿にとって大切な情報です。
それを、良い口コミを選別するための入口として使ってしまうと、アンケートの役割もゆがんでしまいます。
アンケートから口コミにつなげるときの注意点
ホテルや小規模宿では、宿泊者アンケートを使って口コミにつなげたい場面があります。
それ自体は悪いことではありません。
むしろ、宿泊者が体験を思い出しやすくなり、ゼロから口コミを書く負担を減らせる場合があります。
ただし、アンケートから口コミにつなげるなら、次の点に注意が必要です。
評価によって投稿導線を出し分けない
アンケートで高評価をつけた人だけに口コミ投稿を案内するのは避けた方がよいでしょう。
同じ宿泊者の声として、回答内容に関係なく同じ選択肢を用意する方が公平です。
良かった点だけを聞かない
「良かったところを教えてください」だけでは、宿泊者の声が偏ります。
気になった点や、もっと良くなると思った点も聞くことで、宿の改善にもつながります。
口コミ文に回答していない内容を足さない
アンケート回答をもとに口コミ文を整える場合、宿泊者が書いていない事実を追加しないことが大切です。
たとえば、宿泊者が「部屋が清潔だった」とだけ書いているのに、「スタッフが親切だった」「朝食がおいしかった」と付け加えるのは避けるべきです。
投稿するかどうかは宿泊者本人に任せる
口コミは、宿泊者本人が内容を確認し、自分の意思で投稿するものです。
自動投稿や代理投稿ではなく、本人が確認・編集できる流れにしておくことが大切です。
報酬や特典と引き換えに口コミを求めない
口コミを増やしたいからといって、報酬や特典と引き換えに投稿を求めるのも避けるべきです。
たとえば、
- 口コミを書いたら割引
- 投稿してくれたらドリンクサービス
- 星5レビューで特典
- 口コミ投稿者にプレゼント
- 次回宿泊の割引と引き換えにレビュー依頼
といった方法です。
こうした方法は、宿泊者の本音ではなく、特典を得るための投稿になりやすくなります。
特に「星5をお願いします」「高評価でお願いします」のように、評価の内容まで求めるのは危険です。
口コミは、宿泊者が実際に感じたことを自分の言葉で投稿するものです。
宿側ができるのは、投稿しやすい導線を用意することまでです。
投稿内容や評価をコントロールしようとしないことが大切です。
口コミ文を整えるときは、宿泊者の声を変えすぎない
最近は、アンケート回答や短い感想をもとに、口コミ文を整える方法もあります。
たとえば、宿泊者が次のように書いたとします。
「朝の散歩が気持ちよかったです」
この声を、次のように整えることはできます。
「朝、宿の周辺を散歩した時間が気持ちよく、静かな雰囲気の中でゆっくり過ごせました。」
この程度であれば、宿泊者の体験を読みやすく整理しているだけです。
一方で、次のように変えてしまうと危うくなります。
「スタッフの方がとても親切で、朝食もおいしく、周辺観光にも便利な最高の宿でした。」
宿泊者が書いていない内容が入っています。
口コミ文を整えるときは、文章をきれいにすることよりも、本人の体験から外れないことが大切です。
特に小規模宿では、ひとつひとつの口コミが宿の印象に強く影響します。
だからこそ、無理に良く見せるより、実際の声を自然に伝える方が長く信頼されます。
小規模宿が口コミを増やすときに気をつけたいこと
小規模ホテル、ゲストハウス、一棟貸しでは、大きなホテルとは違う難しさがあります。
スタッフが少なく、チェックアウト時に毎回ゆっくり声をかけるのが難しい。
宿泊者との距離が近いからこそ、口コミをお願いするのが気まずい。
口コミ対策に大きな予算をかけにくい。
紙アンケートを置いても、集計や管理が続かない。
こうした宿では、強く口コミをお願いするよりも、宿泊者が自然に声を残せる仕組みを作る方が向いています。
たとえば、
- 客室にQRコードを置く
- チェックアウト案内に感想フォームを入れる
- 旅のひとことを書ける導線を用意する
- 良かった点と気になった点の両方を聞く
- 投稿するかどうかは宿泊者本人に任せる
- 集まった声を改善にも活用する
このような流れです。
「口コミを書いてください」と直接お願いするのではなく、まず宿泊者の声を宿に残してもらう。
そのうえで、希望する人が口コミにも使えるようにする。
小規模宿では、このくらいの距離感の方が続けやすくなります。
口コミを増やすために大切なのは、声を選別することではない
口コミを増やしたいとき、つい「どうすれば良い口コミだけ増えるか」と考えてしまいます。
でも、本当に大切なのは、良い声だけを選ぶことではありません。
宿泊者が何をよかったと感じたのか。
どこで迷ったのか。
何が印象に残ったのか。
次に泊まる人へ何を伝えたいのか。
そうした声を集めることです。
良い声は、口コミや公式サイトの改善に使えます。
気になった点は、宿の改善に使えます。
どちらも宿にとって大切な情報です。
口コミを増やすことだけを目的にすると、運用が不自然になりやすくなります。
まずは宿泊者の声を自然に集めること。
その声を、必要に応じて口コミにも活かせる形に整えること。
この順番で考える方が、宿泊者にも宿にも無理がありません。
まとめ
ホテルや旅館が口コミを増やすこと自体は悪いことではありません。
ただし、増やし方には注意が必要です。
特に、次のような運用は避けた方がよいでしょう。
- 高評価の人だけに口コミをお願いする
- 低評価の人を口コミ投稿画面から遠ざける
- アンケートで良かった点だけを聞く
- 報酬や特典と引き換えに口コミを求める
- 宿泊者が書いていない内容を口コミ文に追加する
- 自動投稿や代理投稿をする
口コミを増やすには、宿泊者に無理にお願いするより、声を残しやすい導線を作ることが大切です。
客室やチェックアウト案内にQRコードを置く。
短いアンケートで体験を思い出してもらう。
良かった点だけでなく、気になった点も聞く。
投稿するかどうかは、宿泊者本人に任せる。
こうした正攻法を積み重ねることで、小規模宿でも無理なく口コミにつながる声を集めやすくなります。
口コミは、宿をよく見せるためだけのものではありません。
宿泊者の体験が、次に泊まる人へ伝わるための声です。
その声を公平に、自然に集めることが、長く信頼される口コミ対策につながります。
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