はじめに
宿泊料金を上げるべきか下げるべきか。コンサルや料金代行サービスを入れていない小規模宿では、この判断を自分でするしかありません。この記事では、周辺相場との比較の仕方と、利益だけでなく稼働率を軸に価格を考える方法を解説します。
周辺施設と比べるときに気をつけること
ゲストハウスの価格設定が難しいのは、同じ条件の施設が少ないことです。同じ地域の宿でも、宿泊形式や設備が違えば単純比較はできません。
ドミトリーは1ベッド単位、個室は1室単位で価格がつきます。ドミトリーの1ベッド3,000円と個室1室5,000円を比べて、個室の方が高いとは判断できません。個室には寝室を共有しない価値があるためです。
比較するときは、次の条件が近い施設を中心に探します。
- ドミトリーか個室か
- 風呂・トイレが共用か専用か
- 食事付きか素泊まりか
- 駐車場の有無
- チェックイン方法
地域内に近い条件の施設がなければ、少し離れた地域まで探す方が、同じ市町村内の異なる条件の施設と比べるより参考になります。
比較対象が集まったら、平均価格にそのまま合わせるのではなく、その価格帯の中で自館をどこに置くかを考えます。共用部分が多く設備が簡素なら下寄り、個室性や清潔さが評価されているなら中央から上寄りに置く、といった形です。あわせて、安さを重視する層と、静かな環境や個室を求める層のどちらに選ばれたいかも整理しておきます。狙う客層によって、価格の位置は変わります。
1室あたりの手残りを確認する
宿泊料金がそのまま利益になるわけではありません。比較する前に、1室販売したときにかかる費用を整理します。
- OTAの販売手数料
- 清掃の人件費
- リネン・アメニティ
- 水道光熱費
- 決済手数料
表示価格ではなく、これらを引いた手残りで周辺施設と比べることで、値付けの妥当性が見えてきます。
利益より稼働率を優先するという考え方
周辺相場と手残りを確認したうえで、筆者が運営する宿では、利益を最大化する価格ではなく、稼働率を優先する価格を選んでいます。
理由は、口コミとの関係にあります。筆者の宿では、完了した宿泊のうち約5.5%が実際にGoogleの口コミへつながっています(1.5年で完了済み予約約400組のうち22件、評価4.3)。宿泊料金を大きく上げて1組あたりの利益を追うより、予約が入りやすい価格を維持し、宿泊者との接点を増やす方を選んでいます。
年間稼働率は42%です。価格だけが理由ではありませんが、強気に値上げせず、予約が入りやすい水準を維持していることも一つの要因だと考えています。1組あたりの利益は小さくなりますが、宿泊組数が積み上がるほど、口コミも積み上がります。開業してまだ口コミが少ない時期には、特に有効な考え方です。
ただし、稼働率を上げるほど清掃や接客の負担も増えます。人手が限られている宿では、稼働率よりも1組あたりの利益を優先した方がよい場合もあります。
口コミが実際にどう増えていくかの仕組みは、こちらで詳しく説明しています。
ゲストハウスの口コミを増やす方法|気まずさをなくす依頼の仕組み価格を見直すときに確認すること
私たちの宿では、周辺の個室型宿泊施設や、風呂・トイレなどの設備条件が近い施設を比較しました。そのうえで基本料金を200円上げ、土日には平日の約1.1倍となる料金を設定しました。
値上げ・値下げのどちらを検討する場合も、判断材料は利益だけではありません。
- 予約件数が大きく減っていないか
- 予約が入るタイミングが遅くなっていないか
- 土日・祝前日の埋まり方が変わっていないか
- 1室あたりの手残りが増えているか
- 口コミの投稿ペースが落ちていないか
稼働率と口コミの増え方の両方を見ながら、少しずつ調整するのが安全です。一度に大きく変えて、どちらの影響か分からなくなる状態は避けます。
まとめ
ゲストハウスの価格設定について整理します。
- 周辺相場は、宿泊形式や設備条件が近い施設で比較する
- 表示価格ではなく、費用を引いた手残りで比べる
- 利益の最大化ではなく、稼働率を優先する価格の考え方もある
- 転換率が一定なら、宿泊組数を増やすことが口コミを増やす近道になる
- 価格変更後は、稼働率・口コミ・手残りの3つで効果を確認する
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